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大流行したアバクロが身売りしなくてはいけない本当の理由

こんにちは。現役介護士のままる@mamaru0911です。

アメリカの大手アパレルカジュアルブランド「アバクロンビー&フィッチ」(Abercrombie&Fitch)が、身売りを検討しているという報道がありました。

「アバクロ」身売り検討 アメリカンイーグルなど候補に (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

いまからおよそ10年ほど前、キムタクがドラマで着用したことがきっかけで日本でも一大ブームを巻き起こした「アバクロ」。

流行が去り、いよいよ本国のブランド本体が衰退していると言う事です。

僕はアバクロ全盛期に、アメリカの店舗でアバクロ商品を大量に買い付け、ヤフオクで転売するという商売を一年半ほどやっていました。

そんなアバクロが衰退するのは悲しいのと同時に、時代の流れを感じます。

今日はそんなお話です。

アバクロ 銀座

http://diamond.jp/articles/-/96388

アバクロンビー&フィッチとは

いまの10代の人は、すでにアバクロを知らないのかも知れませんね。

10年ちょっと前に、爆発的に人気を得た米国のカジュアルブランドです。

厚手でタフな素材に、デカデカと刺繍やワッペンロゴを排したデザインで、パーカーやTシャツが人気でした。

 

アバクロが流行しだした当時は、日本に正規店が無かった為、ネットでの並行輸入品をみんながこぞって購入していたんですね。

アバクロの「せどり」が成功した理由

10年ほど前、そんなアバクロ人気に気がついた僕は、ネットでの転売いわゆる「せどり」をやっていました。

一年間ほど毎月アメリカに出掛け、一週間ほど滞在しました。

その間に、目当てのショッピングモールでアバクロ商品を大量に買い付け、日本に空輸。

日本に帰国してその荷物を受け取り、一点ずつ写真を撮りヤフオクにアップして売上を立てます。

最盛期では、仕入れ値の3倍ほどの売上になり、この商売は大成功を納めました。

その成功の一番の理由は「タイミングが良かった」ということです。

  • ヤフオクのマーケットが確立した時期だった
  • 為替が円高に傾いていた

この二つは非常に重要でした。

さらに、アバクロ流行のきっかけになったのが「キムタクがドラマで着用した」という理由です。

当時は今ほどネットが発達していませんでしたから、情報自体が少ない訳です。

まず、その人気のニーズに気がついた原宿あたりのセレクトショップ並行輸入を始めました。

その時に店頭で付けた値段が「Tシャツ一万円」「デニム三万円」のような高額なものだった訳です。

その為、後続でせどりを始めた人々も最初はネットで高値で販売していました。

しかし僕がアメリカの知人に聞いてみたところ、アバクロは「Tシャツ二千円もしない」カジュアルブランドだと言う事が分かりました。

これなら商売になるかも知れないと、僕は自らアメリカに行ってみたわけです。

情報=お金の事実

世の中とは面白いもので、行動次第で情報は、お金に換える事が出来ます。

当時の日本には

「アバクロが欲しい」

という人がたくさんいました。

さらにその人たちは

「アバクロはまあまあ高い」

という情報しか持っていなかったわけです。

当時アメリカでは、アバクロは人気でしたが「所詮大学生が着るブランド」というイメージが強かったにもかかわらず、日本では「キムタク」が着た事により30代や40代の男性までアバクロの魅力に取り憑かれたんですね。

本国では若者向けのブランドですから、当然その販売価格も安いわけです。

しかし日本では「正規店」や「正規代理店」が存在しない段階でのブームだったわけで、そのブランドイメージを創るのは、われわれ「転売業者」だったんです。

僕らが付ける値段が、アバクロの価値になっていたという非常に面白い状態でした。

その為、儲けの幅も大きく、アメリカへの渡航費、滞在費、商品の輸送費、関税、全てを払っても手元に利益が残ったというわけです。

アバクロブランドの魅力

本国でのアバクロのブランディングは、当時凄まじいものがありました。

アメリカで初めてアバクロの店内に入った時「なんだこりゃあ」という驚きがありましたよ。

まず店内が異常に暗いです。

暗闇の中、ピンスポットで商品が照らされているような感じです。

さらに店員と話すのも一苦労なくらい、大音響のクラブ並みの音楽が掛かっています。

アバクロブランドの象徴である「モデルの様な」店員は、噂通りほぼ服を着ていないような状態で筋肉を見せつけています。

一番驚いたのが、店内の「匂い」です。

アバクロは同ブランドの香水も商品として扱っています。

その香水、なかなか独特な匂いがするのですが、驚く事に店員はその香水を商品にじゃんじゃん振り掛けています。

当然店内は強烈な「アバクロ臭」がします。

もっと言えば、ショッピングモールなどでアバクロの店舗を探していると、まず「アバクロ臭」がして「あーこの辺にアバクロがあるな」というのが分かるくらいです。

こんな具合に、アパレル業界ではありえないブランディングを行った「破天荒さ」がアメリカではウケた結果、アバクロはアメリカでは知らない人のいないブランドまで成長したわけですね。

アバクロを追随する他のブランド

当時アメリカでは、アバクロは10代20代の若者に人気のブランドでした。

そうなると、アバクロを「パクる」ブランドがアメリカ国内で台頭し始めます。

アバクロにとって、一番の宿敵は「アメリカンイーグル」です。

「アメイー」の略称で知られるアメリカンイーグルは、いまでこそ日本に上陸していますが、僕がアメリカに行っていた当時は、日本で知っている人は皆無なブランドでした。

アメイーの戦略は「アバクロとそっくりなものを」「アバクロより安く売る」というエグいものです。

というか、僕にはそうとしか見えませんでした。

見た目のデザインは、非常にアバクロに近いです。

でも、素材や縫製がアバクロより劣ります。

アバクロの服って、すごくタフなんです。

当時売れ残ったアバクロを、僕は未だに部屋着で着ていますが一向にくたびれる感じがしません。

しかしアメイーは、やっぱり劣化が早いです。

しかしアメリカンイーグルは、その安さを盾に次々と出店を行います。

アメリカではそこそこ売れていたんでしょうね。

さらにそのアメリカンイーグルの後を追うように「エアロポステール」というブランドが「アバクロテイスト」の商品で台頭し始めます。

エアロポステールは、アメイーよりさらに品質は下で安いというブランドイメージです。

アメリカでは「フォエバー21」と似た様な立ち位置で、安さが自慢のブランドでした。

エアロポステールはその後「ヘリテージ」というメンズ専門のラインを立ち上げますが、こちらはすでに撤退した模様です。

いよいよ身売りを検討するアバクロ

報道によると、アバクロの売上はここ4年間で3割減ということです。

いよいよアバクロのあの「破天荒な」イメージ自体、マーケットに合わなくなって来たんでしょうね。

身売りを検討しているアバクロに、手を上げたのが「アメリカンイーグル」と「エクスプレス」です。

「アバクロの二番煎じ」というイメージが強い「アメイー」が本家を食ってしまうという事態。

これは以前のアバクロファンとしては、非常に悲しい現実です。

エクスプレスというブランドは、日本ではあまりなじみが無いですが、アメリカでは大きいカジュアルブランドチェーンです。

アバクロやアメイーほど、商品デザインに特徴は無く、スタンダードなものからデザインに特化したものまで色々やってるというイメージです。

ちなみに僕は当時買い付けた、エクスプレスのライダースジャケットを未だに着ています。

あれほど隆盛を誇った「アバクロ」がなぜ失墜してしまったんでしょうか?

アバクロがオワコン化した最大の理由

アバクロの隆盛と失墜の歴史を見ると、まさに「商売」の難しさが垣間見えます。

そもそもアパレル業界って、世界中ですでに飽和な状態なわけです。

そこで注目を浴び「売れるブランド」として名をはせるには、他でやっていない「強烈な」差別化が必要です。

アバクロは実は結構古いブランドです。

その老舗ブランドが、一気に責めに転じてあの「破天荒」なブランドを確立してアパレル界で一矢を報いた訳です。

しかし、派手さに重きを置いた戦略は、当然色あせるのも早い。

注目を浴びるのだけでも難しい業界で、さらに注目を浴び続ける戦略が、アバクロには無かったということでしょうか。

一方でアメリカンイーグルは、時代として流行したアバクロに乗っかって大きくなったブランドです。

その嗅覚と戦略の転換は、まさにアメイーの能力といっても過言ではありません。

ビジネスでは「先駆者より後発者が強い」と言われますが、まさにそのような結果になったのではないでしょうか?

まとめ

それにしてもアバクロの身売りは、当時せどりをしていた僕の様な人間にとっては、ショックなことです。

なんだかんだ言って、あれほど「凄い」と思えたブランドを僕は未だに知りません。

色んな意味で「差別化」を振り切っていたアバクロ。

時代の変化と共に、人気を継続することがいかに難しいことなのかと痛感します。

会社を辞めて「起業するぜ!」

と言っている人に向けて僕が度々書いている事ですが、起業して事業をスタートアップすることは思っているほど難しくありません。

その事業を継続することのほうが、何十倍も難しい事です。

もし自分が起業するかどうか迷っている人がいるなら、その事業が20年先でも通用するのか?

を考えてみてはいかがでしょうか。

商売をやり続けて行くことは、そんなに簡単ではありませんよ。

 

 

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