高齢者の暴走が止まらない!横浜87歳運転で小一児童交通死亡事故【現役看護助手が考えるその原因とは?】
こんにちは。無職から派遣看護助手に転職した、ままるです。
高齢者の自動車運転による、暴走交通事故が後を絶ちません。
【立川・高齢女性暴走事故】「生活の足」進まぬ免許返納…高齢者事故、有効な打開策見いだせず 運転の上江洲さん、過去に認知症の診断なし(1/2ページ) - 産経ニュース
これから迎える「超超高齢化社会」。
このままでは、こういった「高齢者による暴走交通事故」は増える一方です。
国を含めて、我々は今後どうしたらいいのでしょうか?
今日はそんなお話です。
増え続ける高齢者の暴走死亡交通事故
最近では連日、高齢者の自動車運転による死亡交通事故のニュースが後を絶ちません。
87歳容疑者を鑑定留置 横浜・小1死亡事故:朝日新聞デジタル
横浜市で、集団登校中の小学生の列に軽自動車が突っ込み、小学一年生の男の子が犠牲になったこの事件、自動車運転死傷処罰法違反の疑いで逮捕された、合田政市容疑者(87歳)は神奈川県警の取り調べに対して、
「どこをどう走ったか覚えていない」
と供述しているということです。
警察は合田容疑者に対して、認知症の疑いを含めて捜査を続けていると言う事ですが、認知症患者が運転する車とは…
もはや凶器としか言いようがありません。
そもそも認知症とは?
「認知症」と一言で言ってもその症状や原因は様々です。
ちなみに「認知症」とは病名ではなく、脳になんらかの障害を受け、記憶や判断、認識能力が著しく低下し、社会生活に支障をきたす「状態」のことを言います。
「認知症」の原因の60%と言われているのが「アルツハイマー病」です。
「アルツハイマー病」は記憶を司る「海馬」と言われる部分に病変が起こって、記憶が出来なくなる病気です。
アルツハイマー病を含める記憶障害の病気は、その原因は「脳」にあると言われ、実は現代の医療でもその根本原因や、治療法等は分かっていない病気なのです。
実際の認知症患者たち
僕は病院で看護助手として働いていますが、多くの認知症患者たちと接しています。
そこで感じるのは「認知症」という状態はとても不思議なものだ、ということです。
認知症は、その原因や患者個人の性格によって本当に様々な症状になります。
- 毎日お見舞いに来る自分の家族達が、いったい誰だか分からない。
- 現在自分が入院している病院が、どこなのか分からない。(旅館や他人の家だと思い込む)
- トイレの行き方や、食事の仕方が分からなくなる。
など、それぞれ変わった症状を発症します。
僕が不思議に思ったのは、認知症患者は「すべて」を忘れている訳ではなく「一部の記憶」を忘れているという点です。
自分の家族が誰だか分からない人でも、食事を出せばスプーンや箸で普通に食べたり、トイレの行き方が分からなくなった人でも、トイレに連れて行くと、水道を出して普通に自分で手を洗ったりします。
つまり「一部の記憶」だけすっぽりと抜け落ちていく状態なので「車を運転する」という動作や行為はできちゃうわけです。
でも「どこをなんの為に走っているのか分からない」という非常に恐ろしい状態になるんですね。
しかも認知症の恐ろしい所は、原因にもよりますが特にアルツハイマー病の場合、その症状はある日突然記憶がなくなる訳ではなく、毎日少しずつ「一部の記憶」が曖昧になり、気がつくと忘れている、という状態になることです。
病院ではっきりと「認知症」と診断される以前の「認知症予備軍」はこの辺にゴロゴロ存在し、今日も普通に車を運転しているというわけです。
高齢者の統計が示す危険性
厚生労働省の発表によると、65歳以上で認知症を発症している人は推計15%。
超超高齢化社会のピークと言われる2025年には、現状の1.5倍と言われる700万人に昇ると推計されています。
認知症予備軍である軽度認知障害(MCI)を足すと、その推計は1500万人以上。
日本の人口の10%以上の人が認知症、または認知症予備軍という恐ろしい予測が立っているのです。
一方で自動車免許の保有率の推移を見てみると、2025年には65歳以上の自動車免許保有者率が、全体の18%以上になると推計されています。
http://www.hajimete-carhoken.com/jiko/data/1258/
つまり2025年の日本の道路を極端に想像すると、
100台の車が走っていると、20台は65歳以上の高齢者が運転し、その20台中3台は認知症
ということになります。
恐ろしすぎます。
暴走する高齢者を止める方法
現在では70歳以上の免許更新時に、講習や講習予備検査などが行われています。
さらに自動車免許の「自主返納」も盛んに叫ばれています。
尊厳やプライバシーなどの問題で、高齢者から自動車免許を取り上げるのは難しいと言われています。
しかし現実的に、高齢者の運転で無関係の人の命が落とされている現状を見ると、そうは言っていられないと思います。
- 免許制度をさらに厳しいものにする。
(例:65歳以上は一年更新、更新時に認知症等の医療チェックの充実など)
- 自主返納制度によるメリットの向上
(無料タクシーやバスのパスなどの交付など地方自治体によるバックアップの強化など)
自動車運転免許に関しては、都市部と郊外ではその返納率も大きく違います。
郊外等で車を必要とする高齢者をいかにケア出来るかが、今後の行政の仮題であると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
実際に自分のまわりに高齢者がいない方はピンと来ないかも知れませんが、自分や自分の家族が、普通に歩いていて車に突っ込まれることを想像してみて下さい。
その運転者が認知症だったら?
認知症患者だった場合、本人に悪気はまったくありません。
そういう意味では飲酒運転よりも大きな問題だと思います。
大切なのは、身近な家族や親戚が、高齢者となったひとに運転免許の自主返納を促し、車が運転出来なくなった不自由を、カバー出来るように努力することだと思います。
来るべき超超高齢化社会。
高齢者本人だけでなく、その周りの家族や親戚の力が必要な時代なのです。